「イクメン、弁当男子」が、なぜ出世できないか-伊藤忠商事社長の記事を読んでの感想
該当の記事はこれです。
「イクメン、弁当男子」は、なぜ出世できないか 「より良く働く」ための全課題:PRESIDENT Online - プレジデント
すでに幾人かの方はこの記事について反論を述べています。
例えばこの方のエントリーなんかいいですね。
「イクメン、弁当男子」が、出世できない本当の理由と「出世」の罠
私は33歳独身、イクメンでもなければ弁当男子でもない。
イクメンや弁当男子が出世しないとも考えてません。
記事について、少しずつツッコミを入れてみましょう。
元気のない若者男子の代名詞「草食系」
「草食系」は狭義の意味でいけば女子にガツガツしてない男子でしょう。
ただ単純におとなしい性格を「草食系」ということもまああるでしょう。
今回はこっちのほうであると思います。
これについては、TEDの良い動画を紹介しておきましょう。
スーザン・ケイン 「内向的な人が秘めている力」 | Video on TED.com
おとなしいという意味での「草食系」をダメだと考える必要はない。
内向的でいいじゃない、人間だもの。
続いてハングリー精神の部分についても思うことがある。
まあ確かに豊かになってハングリー精神は薄れたかもしれない。それは認めよう。
で、一体何に対してハングリーになれと?
「出世」がテーマの一部なんだから「収入」や「地位」について言ってるのかな?
経済学部出身の私にとっては、
効用を最大化することが幸せになるということになる。
簡単に言うと「満足度」をあげるってことです。
経済学的には、効用最大化を個人の行動原理とみなしています。
(ミクロ経済学ででてきますので興味あるからは調べてください)
「収入」や「地位」という面も考慮することになるが、要素はそれだけではない。
スノーボード好きな人にとっては、毎年スノーボードに何回も行くことが大事。
効用というのは人の価値観によって尺度が違う。
だから「出世」にハングリーでなければいけないなんてこともないので、ある程度の収入を得た段階で、個人の興味はシフトすると言ってもいい。
豊かになるとそれ以上の収入を得る気持ちが減るということは当然の結果です。
システム・エンジニアの視点でいえば、
技術的な興味というハングリーさは持っていたい。それはどこかプロ根性みたいなものではある。全員が技術志向ではないから全員にあてはまることではない。
出世という意味でのハングリーさはあまり興味がない。出世?なにそれ美味いの?
職業を収入だけで選ぶ人はいない。
やってて楽しいか、面白いと感じるか。
そういう収入とは違う部分も大事。
なんで大事かっていうと、生きてるうちの大部分の時間をそれにつぎ込むんだから、面白くないとやってられない。だから適度にマンネリしないのがいいと自分は考えている。
この方はゆとり教育の話を持ち出していますが、これには妄想が含まれているように感じます。
いわゆる「ゆとり世代」の入社は、2010年です。
たった数年しか社会人経験がない人達のことについて、中国や韓国に遅れを取ってるのはゆとり教育が原因だと言っているわけです。
ゆとり教育を良いとは自分も考えませんが、この理論の帰結には甚だ賛同できません。
本当にたかだか社会人経験4〜5年以下の人達のせいで、中国や韓国に遅れを取ってると考えているのでしょうか。
女性と男性という性差による役割
こういう言葉も出てました。
この方は仕事をする上での性差の例をあげてます。まあ、女の「かわいい」は男には理解出来ない領域があると私も感じますし、商品企画などは女性の活躍の場が豊富にあるというのは本当でしょう。ただし、なぜか家庭における役割についてはあまり論じてませんが、いちおう男女の立場が逆であってもよいという部分がありますね。でも、根っこではどうもやはり女性が子育てをしてる方がいいと考えているようにうかがわれます。
性差が「子育て」する上で非常に重要かというとそうは思わない。
たとえば「女性=料理」という考え方ももはや時代遅れだと誰もが感じているはず。
男子が作った料理よりも、女子が作った料理のが嬉しいということはあるだろうけど、それは気持ちの上での話で、女子がかならず料理が上手いということではない。
むしろね、料理ってのは肉体労働だから男性向きな作業が多いんですよ。
脳科学的な話であれば、身体的な性別が脳の性別と一致しないことはあるそうです。(性同一性障害とかいう話ではなくてね)
性別によって安易に個人の適性を考えるのはよくない発想だと思う。
日本での家事・育児の役割分担の図が載っていたけど、
あれはあれで時代に合わないなーって思う。
前提として、日本の制度モデルがそうなってるのが問題。
そこに触れずに明確に分かれてますとか言うのはちょっと違う気がするな。
試しに年齢別のデータとかあれば面白い。
きっと20代、30代はもっと違うような割合になっているはずだ。
よその国では「家事・育児・仕事」の合計値が日本よりも高いのも面白い点だ。
日本人男性は怠け者で一番結婚相手としてふさわしくないことを示している。
しかも男女を通じての最下位だ。
ダメじゃん、おれら・・・。
スウェーデンをのぞけば、どの国も女性の方が働いているよね。
商社マンは日本で一番平均年収が高い職業だったっけな。それを忘れていた。
共働きだったり、父子家庭ならそういう話はない。
イクメンに関してこのような言い回しがあった。
愛情があって育児を助けたいという気持ちはわからないではない
自分はこれは前提が間違ってると思う。
きっと「助けたい」などというスタンスでは思ってないはずだ。
仕事休んででも「育児したい」のではないかと思う。
重要なのは「育児」の方だよね。「仕事」は他の人でも出来るし。
それに「育児」は今しか経験できないこと。
女性のほうが「育児」に適性があるとでも?
最近の人はそんな風にはきっと考えてない。
「育児したい」から「育児する」、きっとそんだけのことだよ。
さらに男性の場合は、お客さんから何か頼まれると、ちょっと危ない話でも「まあ、いいか」とえてして引き受けてしまうところもあるが、女性は「ダメです」ときちっと断り、いわゆるコンプライアンスを守る。
それは性差ではないだろう、何を言ってるんだ。。。
伊藤忠商事とはそういう会社なのかと評判を落としてしまいますよ。
機械的にうんぬんの部分も、性別とか言う前に個人の適性を考えてくれまいか。
こういう人がいるから女性管理職が少ないのではないかとさえ感じた。
それに、性別を理由に振り分けるのは、きっと法律違反の可能性が高く、
いちおう適性で振り分けてることになってるからグレーなんだけど、
こういう危なっかしい言い回しになってしまった点がこわい。
弁当男子の部分もツッコミどころが満載なんだ。
確かに「料理が趣味」って人もいる気がする。
独身の自炊は「金銭的」に安く抑えるのが大変だ。
もしそれが出来ている上での弁当なら羨ましい。
「健康管理」の意味でも気を遣うことが出来てるはずで、「弁当男子」には「肥満」のイメージはない。
料理が出来ない女子にとっては「弁当男子」はいい物件だ。
「婚活」においての弁当男子は武器になりえる。
なによりも弁当を作る時間をマネジメントできてるわけで、
それは非常に優秀であることがうかがわれる。しかも継続的にだ。
「弁当男子」のどこにまずいところがあると思う?
この方は一人で食べてるのがダメっていいたいの?
誰かと一緒にご飯を食べることを良しとする考え方は好きじゃない。
自分は昼食時に食堂行く誘いをしょっちゅう断っている。
理由はその時々でいろいろある。
そもそもお腹が空いてない。
いまちょうどいいところだからこのまま続けたい。
眠いから眠りたい。
特に話したいことがない。
食事中に会話するように育ってない。
誰かの食事が終わるのを待つ時間がもったいない。
非常に協調性がないと思っていただいて構わない。
自分の時間を自分で決めてなにが悪い。
昼食は断るくせに、お酒は好きだからホイホイどこにでも行くんだが・・・。
食事ひとつを取ってみても、
どこか男社会の形成をしてしまっているのではないかと思う。
まあ、男性の「一杯飲みに行きませんか?」と女性の「一杯飲みに行きませんか?」は受け取られ方が違ってしまうだろうから無理な部分はあろう。
男と女では、食べたいものの傾向が違って、
自分の金で食べるんだから、好きなもん食べさせてよって話もある。
男同士でも「好きなもん食べさせてよ」ってのがきっとある。
他にも仕事とプライベートはきっちり分けるのが普通になってきて、
いまは昔よりもドライだということに目を向けてないのかな。
記事とは関係ないけど、飲み会に参加しないのは個人の自由。
悪く言う必要はない。酒が飲めない人だっている。食べれないものがある人だっている。お金を貯めたい人だっている。用事があるかもしれない。そもそも開催場所が遠い。役職者で多めに払わされるのが嫌と感じてもらってもいい。嫌いな人が参加してるかもしれない。そもそも職場の雰囲気を楽しいと感じてないことだってある。
もしも、昼飯を一緒に食べないとか、飲み会にこないだとかで出世できないんだとしたら、やるせなくなっちゃうね。